東西線の駅

総論

業務体制について

東西線の駅は、全部で23の駅がある。東京都内には17駅、千葉県内には6駅所在する。東京メトロは一部駅の業務を子会社である株式会社メトロコマースに委託しているが、東西線内にはメトロコマースに委託している駅はなく、自社管轄駅は原則として全て東京メトロの社員が配置されている。

例外が中野、九段下、西船橋の各駅で、中野駅はJR東日本が管轄する東京メトロとの共同使用駅で、JR東日本の社員のみ配置される。東西線を始めとした東京メトロの乗車券の発売はJR東日本に委託されているが、定期券や企画券の発売などで制約がある。九段下駅は東京メトロと都営地下鉄の共同管轄駅で、中野方面ホームに面する改札口は東京メトロが、西船橋方面ホームに面する改札口は都営地下鉄が管轄する。以前は東西線と半蔵門線、都営新宿線それぞれに個別の改札口が設置されていたが、2020年に改良工事が完成し現在の形態になっている。

西船橋駅は東京メトロが管轄する東葉高速鉄道との共同使用駅であるが、PASMOのサービスが始まるまでは中野駅と同様中間改札がない駅構造だった名残で、出札と改札業務はJR東日本に委託されており、東京メトロの社員はホーム立ち合いなどを担当する社員のみ配置されている。よって西船橋駅も券売機は東京メトロの仕様ながら、改札機はJR東日本のものが設置され、改札窓口にもJR東日本の社員が配置されている。以前は北乗換改札と南乗換改札はJR東日本の子会社であるJR東日本ステーションサービスの社員が配置されていたが、現在はいずれも無人化されている。

駅構造について

落合~南砂町間の各駅は地下駅、中野と西葛西~原木中山間の各駅は高架駅。西船橋駅は橋上駅舎を有する地上駅となっており、地下鉄単独の駅ではないものの地下鉄の駅としては珍しい形態である。

ホーム配置は、方面ごとにホームを分ける対向式がメイン。特に初期に開業した高田馬場~竹橋間は神楽坂を除き全て対向式で、地上区間も副本線が設置されている妙典と西船橋以外は対向式になっている。しかし島式ホームの駅も少なからずあり、地下区間では落合、大手町、日本橋、茅場町、南砂町が1面2線。妙典と西船橋は副本線を持つ2面4線の構造。また葛西と原木中山は通過線を中央にもち、両サイドに待避線とホームを設置する新幹線型の配置になっている。

対向式ホームの駅の一例(高田馬場駅)
島式ホームの駅の一例(大手町駅)

特殊なケースとして中野と神楽坂、木場がある。中野は全体で4面8線ながら、東西線が使用するのは3番線から5番線の2面3線。基本的に3番線と4番線を使用するが、三鷹からの直通列車のみ中央・総武線千葉方面と共用の5番線を使用する。逆に三鷹行きは3番線からの発車。神楽坂は地上の道路が狭いため、道路に収まるよう上層がB線、下層がA線の二層構造になっている。木場は東京の地下鉄としては初のシールドトンネル内にホームを設置した駅で、両端の立坑を流用した出入口付近以外は互いのホームが独立した構造となっている。

神楽坂駅A線ホーム。B線はこの真上。

改札口はほとんどの駅で階段などの上下動を伴うアクセスとなる。しかしホームに直接面する改札口が設置されているケースも多々あり、早稲田~九段下間の各駅と日本橋、東陽町、また地上駅としては珍しい形態だが葛西がある。このほか門前仲町にもホームに面した改札口があるが、これは都営大江戸線との乗り換え専用改札で、都営地下鉄が管轄する。島式ホームの先にある日本橋以外は、改札口の設置されていない側のホームにアクセスするには連絡通路を経由しなければならない。

なお銀座線と都営浅草線の一部駅で見られる、両ホーム間に改札内連絡通路が設置されていない駅は東西線にはない。

バリアフリー設備について

現在は全ての駅でエレベーターによる地上~改札~ホームを行き来できるルートが最低でも1ルートは確保されており、利用できる改札口や出口に限りがあるものの車いすやベビーカーで利用する分には支障はない。しかし一部の駅では既存の改札内にエレベーターを設置するスペースが確保できず、エレベーター専用の改札口が設置されている。この場合、自動改札機が1台設置されているのみで、自動券売機や自動精算機、チャージ機は一切設置されていないケースがあるほか、駅員も配置されていないケースがあるので、ICカードの残額不足や乗車券の乗り越しには注意が必要だ。なおインターホンが設置されているので、何かあった際はインターホンにて問い合わせることになる。

乗り換えについて

東西線は東京を東西に横断しているだけあって、ほとんどの地下鉄と乗り換えが可能になっている。例外は副都心線で、東西線とは高田馬場~早稲田間で交差するが交点に駅は設置されていない。これは副都心線が神田川をくぐるための急こう配の途中にあるため、駅を設置することが困難だったため。また高田馬場~早稲田間は1.7㎞と比較的距離があるが、溜池山王のように副都心線の西早稲田駅に近接した場所に駅を新設しようにも、高田馬場駅から距離が近すぎるせいか駅を設けるような動きは見られなかった。なお乗継とは認められないが、高田馬場駅から西早稲田駅までは徒歩で5~10分程の距離である。

そのほかの地下鉄路線とは、都営大江戸線が飯田橋と門前仲町で乗り換えができる以外は各線とも1駅ずつ乗換駅となっている。多くは改札内で乗り換えが可能だが、飯田橋での有楽町線、南北線との乗り換えは同じ東京メトロの路線でありながら一旦改札を出て地下通路を歩かなければならない。また大手町では、東京メトロ各線は改札内で乗り換えができるものの、東西線から丸ノ内線と半蔵門線へは大回りを強いられるため、改札外乗り換えが推奨されている。一方都営地下鉄とは改札を1回ないし2回通過しての乗り換えが基本だが、九段下での都営新宿線のみ改札内乗り換えとなる。なお都営大江戸線は落合駅の真下を通過しているが、ここでは副都心線と同じく駅は設置されていない。乗り継ぎ割引は適用されないが、前後の東中野駅および中井駅へは山手通りで徒歩5分程度の距離にある。

発車合図について

以前は他の路線と同じく、いわゆる「営団ブザー」と通称されるブザーを発車合図としていたが、2017年にメロディに変更している。東京メトロは副都心線開業の際に、各駅各ホーム別に異なる発車メロディを導入して以降、発車合図をブザーからメロディに変更する際は各駅各ホーム別に異なる発車メロディを導入していたが、東西線のみ「始発駅から終点まで聞くと一曲に聞こえる」という仕掛けが導入されている。これは京阪電鉄でも導入されており、作曲者も京阪電鉄と同じ向谷実氏である。ただし九段下駅と日本橋駅は例外的にご当地メロディを導入しており、前者は「大きな玉ねぎの下で」、後者は「お江戸日本橋」をアレンジした曲が採用されている。中野駅はJR管轄のため、引き続きブザーが使用されているが、中央・総武線と兼用の5番線は東西線各駅に発車メロディを導入する以前からJRの発車メロディを発車合図としている。

かつては茅場町駅で2000年代前後の携帯電話の着信音を彷彿させるジングルが採用されていたが、2007年に他の駅と同じブザーに変更されている。

2017年頃より、車両側に搭載される発車合図もブザーからメロディに変更しているが、15000系とB修施工車に限られ、N05系と他社車両はブザーのままである。

各駅紹介