東西線について

東西線の紹介

東京メトロ東西線は、東京都中野区の中野駅から千葉県船橋市の西船橋駅を結ぶ、全長30.8㎞の路線。東京メトロの路線の中では最も路線距離が長く、また東京メトロの路線で唯一千葉県に路線が伸びている。また東京メトロでは唯一、東京都外に自社管轄駅を設置している路線でもある。

中野駅と西船橋駅では、JR中央・総武線と接続し、中野からは三鷹まで、西船橋からは津田沼まで相互直通運転が実施されている。このうち津田沼への直通運転は平日の朝夕に限られる。また西船橋からは東葉高速鉄道とも線路がつながっており、終点の東葉勝田台まで相互直通運転を実施。こちらは平日、土休日問わず終日実施されている。

路線データ

運営事業者
東京地下鉄株式会社
名称
5号線東西線
起点
中野駅(東京都中野区)
終点
西船橋駅(千葉県船橋市)
路線距離
30.8㎞
地上区間
中野駅付近及び南砂町~西船橋間 延べ13.8㎞
駅数
23駅
開業
1964年12月23日
全通
1969年3月29日
電化方式
架空電車線方式 直流1500V
最急こう配
40‰
最小曲線半径
200m
閉塞方式
ATC方式
保安装置
新CS-ATC
最高速度
100㎞/h(地下区間は80㎞/h)

運行形態

各駅停車と快速のほか、平日朝のB線(中野方面)に限り通勤快速が運転される。快速は東陽町~西船橋間で通過運転を実施し、この区間は途中浦安のみに停車する。通勤快速は西船橋→浦安間を無停車で走り、浦安から中野方面へは各駅に停車する。かつては東陽町~西船橋間を無停車で走る快速も運転されていたが、1996年に廃止されている。

日中は15分サイクルのパターンダイヤが組まれており、三鷹~西船橋間運転の各駅停車、中野~西船橋間の各駅停車、中野~東葉勝田台運転の快速が15分の間に各1本運転される。快速含め各駅停車となる中野~東陽町間は5分間隔となる。快速の通過待ちは葛西で実施され、A線は三鷹発、B線は中野行きで実施される。A線の中野発、B線の三鷹行きは快速の通過待ちをせずに終点まで先に到着する。また西船橋では、A線の中野発は6番線に到着、B線の三鷹行きは7番線から発車することで、東葉勝田台方面の快速との対面乗り換えができるよう考慮されている。

快速

種別シンボルカラーは(3色LED式発車標ではオレンジ)。

停車駅は先述の通り、中野~東陽町間は各駅に停車し、東陽町~西船橋間は浦安にのみ停車。開業当初は東陽町~西船橋間をノンストップで走っていたが、1975年に時間帯限定で浦安に停車を開始。徐々に浦安駅への停車時間帯が拡大し、1996年に現在の停車駅で統一されている。なお浦安駅への快速停車を、東京ディズニーランド開園に伴う利用者増加のためとする言説が散見されるが、東京ディズニーランドの開園は1983年のため無関係である。(京葉線が東京駅まで延伸する1990年まで、都内からディズニーランドへのアクセスは東西線と直通バスが主流だった)

平日は終日、土休日は8時頃から21時頃にかけての運転。ただし平日のB線は9時頃まで通勤快速が運転され、快速は運転されない。大半の列車が中野〜東葉勝田台間の運転で、朝晩に三鷹発着、津田沼発着(平日のみ)も少数運転される。またわずかではあるが、東西線内のみで完結する列車も平日、土休日各1本ずつ運転される。東西線や東葉高速線の途中駅で始発、終着となる列車は現在運転されていない。

車両はメトロ車と東葉車がメインで、JR車は朝晩のみ運用につく。朝晩に運転される三鷹〜東葉勝田台間の直通列車はメトロ車のみ運用につく。

先行列車の追い抜きは基本的に葛西で実施されるが、葛西での追い抜きがない場合がある。朝晩には追加で妙典か原木中山いずれかの駅でも行われる。平日夕方に、葛西、妙典、原木中山すべての駅で各駅停車を追い抜く列車が1本あるほか、先行列車を一切追い抜かない列車も平日朝に1本ある。

車両の表示は赤
3色LED式行先表示でも赤
かつて設置されていた3色LED式発車標ではオレンジだった

通勤快速

種別シンボルカラーは(JR車は)。

平日9時頃まで、B線のみ運転。西船橋から浦安まではノンストップで運転、浦安から中野方面は終点まで各駅に停車する。全ての列車が東葉勝田台または津田沼からの直通で、西船橋始発は現在運転されていない。快速と同じく、東西線や東葉高速線の途中駅で始発、終着となる列車は運転されていない。

車両はメトロ車と東葉車が大半だが、JR車の運用もわずかにある。

先行列車の追い抜きは原木中山で実施されるが、西船橋を9時以降に発車する列車は妙典で先行列車を追い抜く。

メトロ車と東葉車は緑で表示
JR車は赤で表示

各駅停車

種別シンボルカラーは(3色LED式行先表示の場合はオレンジ)。

終日に渡り運転。東西線内は全線通し運転が基本で、日中は東西線内のみ運転の列車と三鷹発着が交互に運転される。朝晩には東葉高速線や総武線直通(平日のみ)の列車も運転される。

車両基地が東陽町と妙典にある関係で、入出庫を兼ねた東陽町発着と妙典発着も朝夕に運転される。このほか平日朝に九段下行きと八千代緑が丘行きが少数運転される。

快速の通過待ちは行わず終点まで先行するか、葛西、妙典、原木中山のいずれかで1回行うのが原則。ただし平日夜に葛西と妙典で通過待ちを行う列車が1本ある。またダイヤ乱れなどで列車の順序が入れ替わった場合でも、急遽快速の通過待ちを2回行うことがあるが、私鉄の幹線で見られるような同じ駅で2本通過待ちするようなことは見られない。

全線開通当初から快速列車が走っているにもかかわらず、長らく各駅停車は種別を表示せず行先のみの表示としていたが、2017年に入ってから乗り入れ車含めすべての車両が種別表示を行うよう順次改修された。

カラーLED車は青で表示
3色LED車はオレンジで表示

東葉快速(廃止)

種別シンボルカラーはオレンジ(3色LED式発車標および3色LED式行先表示、方向幕では)。

1999年運行開始。東西線だけではなく東葉高速線内も快速運転を行うため、区別のために「東葉」を冠している。停車駅は中野~東陽町間の各駅と浦安、西船橋、北習志野、八千代緑が丘、東葉勝田台。一貫して通勤客を対象とした列車で、平日朝の中野方面行きと同夕の東葉勝田台行きが少数運転されるのみで、それ以外の時間帯、方面には運転されなかった。後年平日朝の中野方面行きは通勤快速に改められ、以降は東葉勝田台行きのみ運転された。

当初は両方向とも八千代緑が丘で先行の各駅停車に連絡したが、後に中野方面行きは通勤快速への変更、東葉勝田台行きはダイヤの調整によって各駅停車が東葉勝田台、西船橋まで先行するようになった。東西線内では、快速と同じく葛西と妙典、原木中山のいずれかで先行列車を追い抜いていた。

通過駅の利用者増加を受け、2014年3月で廃止され快速に変更された。以降、東葉高速線内で通過運転を行う定期列車は運転されていない。

3色LED車は赤、カラーLED車はオレンジで表示
駅の発車案内は赤で表示

非営業列車

回送

回送列車は全区間で運転されている。特に行徳分室と西船橋駅との出入りはすべて回送となっており、妙典~西船橋間は特に多く運転されている。深川検車区との出入りは営業列車であることが多いが、輸送需要との兼ね合いか夜の西船橋発東陽町行きは深夜の一部列車を除き回送で運転されている。朝の中野発東陽町行きは営業列車であることが多いが、一部列車は回送で東陽町へ向かう。

このほか平日朝1本運転される九段下行きは、九段下に到着後は中野へ回送される。また平日早朝の浦安始発中野行きは、妙典から回送されて営業列車となる。

終電後にも回送列車は運転されており、中野から東陽町へ1本、落合駅付近の駅間に車両を留置するため、中野から車両を送り込む回送が2本走る。1本は高田馬場で折り返しB線線路上の留置場所へ、もう1本はA線線路上の留置場所へ直接回送される。以前は中野駅で留置を行っていたが、中野駅の改良工事により現在地に変更されている。一時期落合駅で留置を行っていたが、駅構内が9‰の勾配上にあること、ホームドアの設置工事の兼ね合いで変更されたと思われる。翌朝、A線の線路上に留置された車両はいったん高田馬場へ向かい、中野へ折り返す。

試運転

試運転は閑散時間帯に、東陽町~妙典間で運転されることが多いが、内容によってはこの限りではない。基本は平日日中だが、土休日に施行されることも多々ある。また終電後に線路閉鎖を実施の上試運転が施行されることもある。

基本的に終電後に施行される場合でも事前の告知は行われないが、南砂町駅線路切替工事に伴う折り返し運転のテストでは、深夜に数往復するためか事前に告知がなされた。

線形

国鉄(当時)と相互直通運転を行い、営団地下鉄としては初の大型車が運行される路線ということで、カーブは地下区間で半径200m以上、地上区間では快速列車の高速運転を考慮して同400m以上を基準とした。勾配は地下、地上共に35‰以内を基準としているが、早稲田~神楽坂間に40‰の勾配が存在する。これは早稲田駅から神楽坂駅に向かって道路が下り勾配になっているうえ、トンネルを上下二層構造に変化させるため、やむを得ず設けられたもの。なお40‰になっているのは下り勾配となっているA線で、上り勾配となるB線は17‰にとどまる。停車場内は10‰以内を基準としているが、日本橋駅構内にわずかながら15‰となっている部分がある。

地下区間は比較的古い路線ということで、地表から浅い位置にトンネルが通されているが、門前仲町~東陽町間は地盤が緩い上小河川をいくつも横断する都合上、地上の道路の橋台の基礎を避けるため木場駅では地下22mの位置にホームを設置している。しかし荒川と中川は、当時河口だったことに加え技術面で不安があったことから橋梁で横断している。

地上区間は開業当時人口が少ない農漁村地帯だったため、直線的なルートがとられている。特に浦安駅東方から妙典駅にかけては直線区間となっており、途中の行徳駅ではホームの両端から両隣の南行徳、妙典両駅を見渡すことができる。カーブは最も小さいもので半径500mとなっており、現在は当該箇所の制限速度は85㎞/hに設定されている。西船橋駅付近以外は高架線になっているが、これは莫大な資金を投じて地下線で建設する必要性が薄かったこと、さらに各鉄道路線で開かずの踏切問題が顕著化し、仮に東西線を地平に通した場合、後年沿線が市街地化し同じ問題が発生することが予想されため。同時期に開業した東急田園都市線も含め、将来を見越して道路との平面交差を廃した鉄道の先駆けともいえよう。

早稲田駅の先にある40‰勾配
東西線で最も深い駅、木場駅
行徳駅から妙典駅を望む

最高速度

地上区間では、線形が直線的と恵まれており、地下鉄路線としては日本最速の100㎞/hに設定されている。一部資料には、各駅停車は別途85㎞/hに制限されているような記述がみられるが、実際は誤りで各駅停車でも90km/h前後で走ることが多い。実際に100㎞/hに達するのは快速が浦安~妙典間で達するのみで、南砂町~浦安間及び妙典~原木中山間は95㎞/h、原木中山~西船橋間は85㎞/hがATCでの最高速度となる。

地下区間では最高速度が80㎞/hに設定されているが、実際はATCにより70kmh/h程度に制限されている区間が多い。