南砂町駅改良工事

経緯

東西線のうち、南砂町~西葛西間は間に全長1.2mを超える荒川中川橋梁を挟むことから、東京メトロでは最も駅間距離の長い区間(2.7㎞)となっている。そのため平日朝の混雑時間帯では、先行列車が南砂町駅に到着する前に後続列車が西葛西駅を発車している。また南砂町駅周辺の開発が進み、南砂はマンションが増加、新砂も工業地帯化が進み南砂町駅から利用する通勤客、南砂町駅へ向かう通勤客どちらも増加している。しかし南砂町駅のホームは狭く、出入り口もホーム両端の狭い階段しかないことから、乗降客が輻輳し乗降に時間がかかるようになった。そのため平日朝の混雑時間帯は、特にB線において南砂町駅停車中に後続列車が複数接近し渋滞が発生している。

そこで南砂町駅のホームと線路を増設し、中央線の新宿駅などで見られるような交互発着を行うことで、先行列車の乗降に時間がかかっても後続列車を入線させることを可能にし列車の渋滞を緩和させることにした。また南砂町駅はホームが狭いため、合わせて既存のホームを拡幅することになっている。

経過

工事自体は2013年9月に着手されている。当初は2020年度の完了を見込んでいたが、想定外の問題が発生し一時工事休止にまで追い込まれている。南砂町駅は、開業当時洲崎川の直下に建設されており、沈埋トンネルの中に構築されている。洲崎川を埋め立てた際使用されたとと思われる埋設物が想定以上に見つかり、撤去や処理に時間を要したこと。また荒川に近い土地柄、地盤が軟弱でトンネル周辺を掘削するとトンネルが変形して列車運行に支障をきたすことが判明したことから、安全対策が必要になったため。

それでも工事は着実に進捗が見られており、2020年には西船橋方の分岐器を設置する部分のトンネルの再構築が完了。また2021年になって中野方では増設された線路の一部が敷設されていることが確認されている。その後も工事は進み、現在は改良工事により新設される予定の出入り口の構築が確認できている。2023年10月時点では、すでに駅看板の設置が確認できているが内装は未完成。2024年5月に線路切替工事が実施されるので、その際に新線と新ホーム、新出入り口の供用が開始されるとみられる。